SUNRISE SQUARE COLUMN -3ページ目

SUNRISE SQUARE COLUMN

オートバイに関する事を20×20文字のSQUAREで綴ってみます。

陽は既に落ち、海に面したキャンプ場にも夕
闇が迫っていた。草地には参加者のテントが
並び、木の下のスペースはぽっかりと空いて
いた。天気予報は晴れを告げるが、夜露が降
りることもある。枝葉の下の方が濡れずに済
むかもな。林間の柔らかい土の上を今日の寝
床とした。宴席で盛り上がる時間帯は着陸の
ために超低空で旅客機が飛行する。笑い声と
いが誘導係として何人か友達の男子も参加す
エンジン音の戦いは夜更けまで続く。ウイス
キーのボトルが空く頃、眠りについた…はず
なのだが記憶がない。目覚めるとお天道様は
既に高く登っていた。柔らかな土なのでフッ
トプリントもコットも敷かなかったが、背中
の痛みは感じなかった。シュラフと薄いテン
トの底面が大地との境界線だ。高田渡の歌が
浮かんだ。♪歩き疲れては夜空と陸との隙間
に潜り込んで、草に埋もれては寝たのです、
所かまわず寝たのです。このコード進行は、
PPMの500MILESに似てる気がする。 

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女子会に呼ばれることはまずない。だって、 
女子じゃないから。高校時代は男子校、姉妹 
校の女子高から異ってきた先生の話を聞くと 
男子の目のない女子高は何もかも明け透けで 
君たちの想像してるような花園ではないぞ、 
とのこと…そればかりは経験しないと実感で 
きななと思っていたが、カメラマンとして来 
ない?とお誘いを受けた。一人では心もとな 
いが誘導係として何人か友達の男子も参加す 
るとの事。それならと、一路西へ舵を切る。 
SNS女子ライダーグループのミーティング 
がNEOPASA新清水で開催された。参加 
車両は100台超!グループには1000人 
以上の参加者がいるという。来るバイクを誘 
導し、停めた所で写真を取らせてもらう。イ 
ベントの最中は楽しんでいる様子を遠くから 
撮影。一日中300枚以上撮影しバッテリー 
も空になるくらいだった。綺麗で可憐で力強 
く食べて飲んで笑う女子達に圧倒された。女 
子会…お腹いっぱいなのでもう良いです^^; 


洗練されたスタイル、アゴのキュとしまった小顔、都会的な雰囲気、さりげない自己主張…そんなMT-07の美点と同じ褒め言葉を捧げたくなるオーナーの彼女に一目惚れ^^
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 残暑、猛暑、酷暑…暑さは彼岸で終わりじゃ 
ないのか?そう思える日差しだった。陽炎が 
揺らめくのか、自分が朦朧としているのか、 
それすらもわからない。灼熱のサーキットは 
夏の祭典を思わせるようにヒートしている。 
戦いはまず自分に勝たなければならない。革 
ツナギを着るだけで汗が吹き出し、20分走 
るだけで気が遠くなる。小型とはいえピット 
ロードをバイクを押して走るのは辛い。それ 
でも走るのはマゾヒスティックなのだろう。 
勝ったところで賞金は出ない、賞賛と引き換 
えに次回のペナルティ(ピットイン回数が増 
える)を貰うだけだ。それでもイイオトナが 
本気になってコースを駆け抜け、作を練り、 
大声で叫び、似顔絵を描き、足ツボに悲鳴を 
あげ、尻キックに悶絶し…ん、そうなのか? 
そうなのだ!速さだけでなく、他の様々な条 
件を満たしたチームに勝利の女神は微笑む。 
と書いたが、俺はアイスを差し入れただけ。 
夕刻の気持ち良い風を一緒に受けるために。
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 備えあれば憂いなし、それは分かっている。 
荷造りはおろかLEDウインカーの取り付け 
に手間取りヘッドライトとテールランプがバ 
ラバラだ。降り出した雨もあり、作業する気 
分ではない。夕飯を仕込むかと台所に立つ。 
夕飯はおそうめんが出るとの事で、ツマミだ 
けを作ることにした。豚バラ、醤油、砂糖、 
白だし、生姜、ネギの青い茎…それをポリ袋 
に入れ湯の中に放置。それだけで旨い角煮が 
できるのだから料理と言えるかはさておく。 
バイクを組み立て、荷造りし、家を出たのは 
10時半を回っていた。天候が不安なため観 
光は無し、下道を走り6時間かけて栃木の山 
奥に到着した。設営も濡れずに済みそうだ。 
夕飯の準備をするもその前に流しそうめん。 
サバのつけ汁をお代わりする頃には動けなく 
ないくらい満腹になる。まだ半分だよぉ~♪ 
ゴメン、ギブアップ…一晩で燃やし尽くせな 
い程の薪で焚火は絶えることなく、宴の夜は 
更けていく。いつの間にか星も瞬いていた。
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駅前のパン屋…どの街にもありそうな風景か 
ら旅が始まる。その看板を見たのはいつだっ 
たろうか、3年いや5年ほど前か。いかにも 
昭和なトタンの看板は、駅前が綺麗に整備さ 
れても昔からの味を守る誇りにさえ思える。 
お客が途切れることはなく、パンが無くなっ 
たら閉店!きっとそうなのだろう。その店で 
初めてパンを買う。「世界初アイスパン!」 
入口に貼られた手書きのお知らせが、ジブリ 
映画に迷い込んだような懐かしい世界観だ。 
パンを齧りながら向かう先は、半島から更に 
突き出したエアポート。地方の空港なので、 
羽田や成田のような大型旅客機が分刻みで飛 
び立つ事はないが、出発と到着の案内板や、 
時刻変更のアナウンスでテンションが上る。 
降り続いた雨が上がり、デッキに出てみれば 
薄く西日が差している。滑走路で夕日を浴び 
銀色の翼を輝かせる機体のエンジン音が空気 
を震わせると、旅心も震えだす。どこに行く 
のかな?その街も駅前にパン屋はあるかな?
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